五十肩・四十肩の原因は主に加齢による肩関節の変形です。つまり、はっきりとした原因が思い当たらずに、年をとって徐々に腕が上げにくくなり痛みが出てくるというものです。このため一般的な外傷や捻挫による肩関節周囲炎や、肩関節脱臼による後遺症とは区別されます。(変形について詳しく言うと、主に肩関節前面の石灰化が起こります。石灰化とは、軟部組織にカルシウム塩が沈着する現象で、組織が病的に硬化した状態になります。)
肩関節の変形は、加齢の他に運動不足で起こる事もあります。普段から肩をストレッチしたり体操したりしないでいると運動不足になり、肩関節周囲の三角筋等の筋肉が上腕骨骨頭や肩関節付近に少しずつ癒着(くっつく事)したり、肩の前面を縦に走る上腕二頭筋長頭腱が硬化したり、この腱が走る上腕骨表面にある溝がカルシウム等の石灰質で埋まったりして、肩関節の可動域制限が起こります。(このケースは若い人にも起こります。ただし若い人の場合は五十肩とは言わないのが通例です。)
また、原因が思い当たらなくても、過去に肩関節を痛めていた事を忘れている場合もあります。年をとってからそれが悪化して肩関節の変形になったり、加齢で神経が敏感になるせいで痛みを感じるようになったりします。(この場合でも具体的な変形の状態や症状は、運動不足で五十肩・四十肩になったのと非常によく似ていて、結果的に筋繊維に部分的損傷が見られる以外には差がない事が殆どです。そのため特に区別されず五十肩・四十肩と呼ばれるのが一般的です。)
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