@まずは背骨(=脊柱)の構造を知ろう
背骨は上から頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨1個、尾骨3〜6個が積み重なって形成され、全体として図1のようなS字状のカーブを作っています。これら一つ一つの骨を椎骨と呼びますが、ここでは腰椎を例にとって説明したいと思います。腰椎の構造は図2のようになっています。
まず椎孔についてですが、これは背骨として組み上がった際に上下に長い「脊柱管」という脊髄を保護する管になります。(正確には第2腰椎以下の高さでは脊髄は馬尾神経という神経の束になっているのですが、ここでは簡略化します。専門知識を知りたい方には『専門医が治す!腰痛』(高橋書店)、『腰痛、肩こり、手足のしびれ』(NHK出版)等の書籍をお勧め致します。)
椎体は背骨の中では体幹を支える屋台骨になります。椎体と椎体の間には「椎間板」という背骨の衝撃を吸収するクッションの働きをする水分が豊富な軟骨様組織が存在し、全体として図3のようになっています。上下の椎体は椎間板を間に挟んで繊維群でつながれ、更に強力な靱帯で補強されていますが、後方は前方ほど強くないため変形が起こりやすく、脊柱の弱点となっています。
最後に覚えておいてほしいのは脊髄神経の構造です。形状は図4のようになっています。脊髄神経から出る神経根は、椎間板が異常をきたして潰れてくると椎体と椎体の間で圧迫され、炎症して痛みやしびれを起こしやすい構造になっています。また脊髄から出た神経はそれぞれ体内で分布する場所が決まっており、このため腰痛時のしびれや放散痛によって、痛みの元になっている腰椎の部位を特定することが出来ます。以上主要な部分だけを簡単に説明させて頂きましたが、腰痛の多くはこれら背骨の構造が何らかの異常をきたした時に起こっているのです。
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